TOPY 鉄を生かすのは、人だと思う。

成長し続ける都市、大連。
この地を拠点に、中国全土を回る日々。

行き交うクルマのクラクション。威容を誇る巨大なビル群と、さらに続々と増え続ける建設現場。その街中を、縫うように足早に通り過ぎる人々。躍進著しい中国経済の中でも、目を見張るほどの成長ぶりを見せているのが、ここ大連という都市である。トピー実業100%子会社である「東碧貿易」に赴任して半年になる朴鮮姫はこの街について、こう説明する。「大連は中国の中でも親日的なエリアとして知られています。トピー実業だけでなく、多くの日系企業が進出している都市でもあります。ここを拠点に、原料調達のために中国国内各地へ足しげく通い続ける毎日です」。
平成16年に発足した「東碧貿易」の役割は、日本で製鉄業を営むメーカーのための副原料と呼ばれる素材の調達や中国国内にあるトピー工業関連工場への設備納入・メンテナンス、トピー工業製品の営業活動と多岐にわたる。朴が担当している副原料とは、電炉を用いた製鋼の場合、主原料となる「スクラップ」以外のあらゆる原料を指すが、特に中国でしか手に入らない「合金鉄」の調達には、日本から大きな期待が寄せられる。「卸先は、電炉を持つトピー工業だけではありません。高炉メーカーや他の商社も取引先のひとつです」。
扱う原料が多彩なだけに、交渉相手も実にさまざま。「大学時代に中国語の専攻はしていましたが、ビジネスの現場で外国語を扱うのにはやはり苦労しますよね」と朴は語る。「ホームシックと言うべきか、やはり日本が恋しくなることは確かです。でも、半年経ってようやく馴染んできたような気もします」。

文化が違うからこそ大切にしたい。
“丁寧な説明”と“腹を割った交渉”。

海外勤務でよく語られるのが文化の違い。言語も食習慣も異なるのだから、ビジネス上の価値観にも違いがあって当然である。ただし、「東碧貿易」にとってのクライアントは日本企業。クライアントが期待する品質を維持するのに苦労は絶えないと朴は言う。「調達の交渉よりも品質維持を徹底するほうが大変ですね(笑)。なぜ、ここまでの品質を保たなければならないのか、論拠を示すように心がけています。また、それによって中国企業の側にもメリットがあることもしっかり伝えます。トラブルが起こらないことが、結果としていいビジネスを継続するこにもつながりますから、そこを理解してもらうために丁寧に説明することが大事なんです」。ただ右から左に、クライアントの要望を流しているだけでは失敗する。そのため、納品された原料の梱包を解いて、中身を確認するケースも少なくない。
日々の業務で活躍しているのは、朴ひとりではない。「東碧貿易には優秀な現地スタッフが多数在籍しています。微妙な交渉ごとや行政機関とのやりとりなどは、彼らの力なしには進みません」。言うなれば、それは“チーム大連”。オフィスでは日本語と中国語が入り交ざった形で会話が進む。「私は経験値も語学力もまだまだ。スタッフと力を合わせて、もっともっと主体的に動けるようになりたいです」と朴は言葉に力を込める。

海外でも国内でも、共通の必須条件。
それは、人と人の信頼関係。

大学時代に中国語を専攻し、留学経験を積んでいた朴にとって中国赴任はある意味で理想的な進路でもあった。「さまざまな国から資材を調達し、さまざまな国にその製品を売る仕事。もともと、そういう視点で当社に入社したので、中国の現地法人に出向できたことは良かったと思います。もちろん、中国語ができる人間が社内に少なかったのも、私が選ばれた理由だったと思いますね」。
トピー実業には、自己申告制度という中期的なキャリアプランを申請する機会があるのだという。朴もまた、そうしたキャリアプランを汲まれての海外赴任だったのだが、そうした機会はこれからも増えていくはずだと朴は語る。「チャンスはたくさんあると思います。海外赴任ではもちろん語学力は必要になりますが、それよりも大事なことは、相手の立場を考え、周囲の仲間と力を合わせていけるコミュニケーション能力だと思うんです」。あくまでも語学はツール。それ以前に、何を語るかがビジネスでは重要だということである。「相手が何人であれ、ビジネスパートナーとして関わるためには信頼関係がとても大切です。それは、海外であれ国内であれ、同じことなんだと私は思います」。中国・大連の地に降り立って半年。朴のいるその都市は、今日も活気に溢れている。

東碧貿易(大連保税区)有限公司
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