TOPY 鉄を生かすのは、人だと思う。

試験、試験、また試験。
メーカー機能としての「責任」が凝縮された仕事。

商社としてだけでなく、メーカー機能を持ち合わせ、数々の名作アルミホイールを市場に送り出している自動車部品事業部。和田千里が携わっているのは、そうしたホイールの品質保証である。「市場調査、ターゲットの選定、商品コンセプトの決定といった企画段階を終えると、ホイールは実際の図面に起こされ、外注先工場に引き渡されます。ここからが、私たち品質保証室の出番です」。工場がホイールの開発に入る前には、必ず3Dでの強度解析が行われる。そこで万が一、基準に満たない結果が出れば、デザインを修正することになる。
「企画側としては、もちろんデザインを大切にしたい。けれど、私たちとしては、強度に不安があるまま量産はさせられない。そこで、ある程度『侃々諤々』のやり取りがあります(笑)」。もちろん修正のたびに図面を確認し、承認するのが和田の責務。品質保証室の承認がなければ、トピー実業のホイールは世の中にはデビューできないわけだ。
コンピュータ上での解析が終わって、実際に金型がつくられ、試作品ができてからも強度試験は延々と続く。「中国・台湾の工場での試験に通過したら、私たちが現地に出張して実際の試験に立ち会います。それから、国内販売のためには公的機関の試験を受けなくてはいけないので、対象サイズは事前に自社試験場で試験を行います。最後に、公的機関の試験そのものにも立ち会います(笑)」。試験に次ぐ試験…。安全第一のクルマの足回りだけに、かなり入念な強度評価が用意されているらしい。

商社に居ながらにして図面のチェック。
多忙な時期には、ほとんど会社にいない日々。

新作ホイールが発表されるのは、冬と春の年2回。それぞれ6種類ほどの新モデルを開発し、モデルごとに5~10サイズの強度評価をすべて並行して行っていくというのだから、多忙そのもの。「忙しい時は、出張や自社試験でほとんど会社にはいませんね」と和田。さらに、強度以外の部分でも品質保証室は大車輪の活躍を見せる。「カラーサンプルや付属品を取り寄せて、それぞれが図面通りにつくられているかチェックする作業もあります。これがややこしくて大変なんです(笑)」。
また、商品の品質維持や改善も重要な責務となる。それには、当然のことながら工場が関わってくるため、またもや中国工場への出張となる。「1年に1回は必ず、全ての工場の全工程を確認する工場監査も行っています。製造過程の改善ポイントを指摘したり、各工場の特色を把握したりする重要な機会です。
商社と聞けば、ほとんどの場合「営業パーソン」を連想するだろう。だが、和田の社会人生活はそれを覆してあまりある。「CADを操作したり、図面を見たり、学生時代に専攻していたことが活かせている感じですね」。工学部デザイン学科を卒業した和田としては、「うれしい配属」ということのようだ。「そうはいっても、任されているのは強度や品質そのものですから、責任は重大。身の引き締まる思いです」。

女性としての生きがいも営業パーソンとしての
やりがいもトピー実業で少しずつ獲得していきたい。

目下、和田が心がけていることは「時間の短縮」。開発期間をできるだけ短くすることで、販売上のメリットが生まれやすくなるのだという。「ホイールにも競合他社がいますが、価格競争や品質競争など、あらゆる意味で“スピード”は大切だと思います。少しでも早く市場に新モデルを発表できれば、競争でも優位に立てるはずなんです」。
2年目という若手ながら、中国への単独出張を幾度となく経験し、任される領域も日々増えている。今後の目標は、「より広い視野を持って、所属部署だけでなく事業部や会社全体の動きもわかるようになりたい」のだそうだ。「女性の総合職ということで、多少、意気込んで入社したところがあったのですが、あまり肩肘を張らなくても自然体で過ごせています」と語る和田。「5年後、10年後のことをイメージすると、やっぱり結婚とか出産とか(笑)、女性としての人生も歩みたい。でも、仕事を辞めたいとは思いません。つねにチャレンジ、つねに向上心。できるだけ自分の幅を広げながら、トピー実業で生きていきたいですね」。
メーカー色の強い部署に配属され、はじめは「拍子抜け」したとも語る和田だが、意識や志を発するその内面には、着実に「営業パーソン」としての基礎が築かれつつあるようだ。