TOPY 鉄を生かすのは、人だと思う。

仕入先も、販売先も、グループ外。
「国際」の名を持つ部署で、試される積極性。

トピー実業が、いわゆるメーカー商社と呼ばれる理由は、言うまでもなくトピー工業という強力な後ろ盾を持つからである。ゆえに、いかなる部署も同社との結びつきは強い。そんな中、ほぼ自立したかたちでビジネスを展開しているのが国際マテリアルグループの非鉄スクラップセクションである。「仕入先も販売先もグループ外なので、より積極性が試されるセクションです。いま私は、アメリカからアルミニウム(以下、アルミ)のスクラップを調達し、国内メーカーに販売する業務を担っていますが、アルミの相場など、変動するマーケットを注視しながら『ここだ!』というタイミングで提案や交渉をする日々です」。仕入から販売までの全体像を頭に思い描き、それがピタッとはまる。その快感は営業パーソン冥利につきるのだと川上は語る。
ところで、1円玉がアルミでできていることを知る人は多いだろう。だが、そのアルミの実体はきわめて多様だ。「用途によって形状も、添加される成分もさまざま。新たなアルミに出会うことも頻繁にあり、発見の多い仕事です」。主たる得意先の二次合金メーカーでは各元素を調整したアルミ合金を製造しており、エンジン部品や飲料缶、サッシなどの製品に幅広く使用されている。素材としての汎用性の高さも、川上の心を掴んで離さない。

国内ビジネスで得た、「関心を持つ」ことの大切さ。
それが、別のフィールドにも生きてくる。

「学生時代に抱いていた商社のイメージは何と言っても"グローバル"。それに尽きます」。入社5年目。憧れにも似た気持ちを、そのまま実現したとも言える川上だが、海外とのトレーディングを担当するようになったのはここ数年のこと。それ以前には、国内業務に没頭していた。「早い時期にグループ内のビジネスや、国内ビジネスに携われたことは幸運でした。都度、国内外の相場を比較・検討できることが、いまの業務に役立っていますね。」
入社後にどんなキャリアを歩むかは分からない。だが、いかなる経験も、次への糧とする。川上に限らず、多くのトピー実業社員が培っている素養だと言える。「いまのポジションを任されたのは、前任者の転属が決まり、後任を探していたからなんです」と、川上は自身の抜擢の経緯を説明する。「でも、大変でした…。前任者が長きにわたって築いてきた信頼を損なわないか、不安ばかり募りました」。思想や文化など、海外ビジネスならではの価値観の違いを味わい、消極的になることも多々あった。それでも川上を前向きにさせたのは、ひとえに好奇心だったという。「へえ」という驚き。挫けるのではなく、関心を持つこと。海外プレイヤーとのビジネスには必須ですよ、と川上は言う。

わずか2年目で新規ビジネス開拓に挑戦。
失敗の中から掴んだ、いくつもの夢。

「アメリカはアルミスクラップの発生量が圧倒的に多い国です。当面はこのジャンルで精進し、いずれアメリカに当社の拠点を立ち上げることができるくらいのビジネスを創りたいです」。川上の夢はあくまでも大きい。だが、大きな夢はひとつではない。「その他のアイテム、たとえば工業用貴金属のリサイクルなどにも携わりたいと思っています」。トピー実業では目下、アジアから貴金属・レアメタルの原料スクラップを輸入するためのプロジェクトを進めているのだが、そのビジネススキーム構築にも川上は取り組んでいる。
その源流を辿ると、わずか2年目で川上が経験したトピー実業らしいエピソードにいたる。「実は私はブラジル人と日本人のハーフなのですが、それがきっかけとなり、お客さまをブラジルへお連れし、新規市場開拓に挑戦したことがあるんです」。生まれ故郷を離れて約20年。もはやツテもアテもない地に、勢いで渡った川上。結果として、ビジネスは成立しなかったのだが、未開拓のジャンルを切り開く醍醐味を川上は知ってしまったのだ。「約3週間にわたるブラジル出張で得た経験とアイディアが今に生きています。2年目の若手に挑戦させる当社の決断もすごいですが(笑)、新しい人とアイテムに出会えたことは大きかったですよね」。この大きな経験が、「いつかは中南米との取引を」というもうひとつの夢を川上の胸に芽生えさせた。
商社で働くとは何だろうか。川上がかつて抱いたように、海外との取引を連想する人は少なからずいるはずだ。だが、「知らないことを知り、新しい経験をすること」だと川上は表現する。自分の視野を広げ、そこで得た経験値を社内や取引先に還元する。それが人生の財産になる。そのマインドは、フィールドや扱うアイテムを超えて、トピー実業で働くことのひとつの真理とも言えるのではないだろうか。