TOPY 鉄を生かすのは、人だと思う。

扱っている副資材は月間4,000t。
鉄をつくり出す現場には、ここにしかない迫力がある。

月間7万tの製鋼能力。そう聞いて、具体的なイメージが出来る人は稀だろう。そして、その7万tの鉄を製造するために、4,000tの副資材が消費されているというのも、およそ想像を超えた数値なのではないだろうか。豊橋マテリアルグループの成木雅哉は語る。「単に電気炉で鉄を製造するといっても、そこにはさまざまなものが必要になります。まず主原料である鉄スクラップ。それから、電気炉へ通電するための電極。鉄の成分を整える副原料など。いろいろあるんです。」
理工学部工業化学科出身の成木にとって、製鉄やリサイクルは、知識の内側にあった領域でもある。だが、巨大な装置や膨大な資材を目の当たりにすると、いまでも心が震えるという。「ボリューム感、スケール感はものすごいですよ。見ればわかると思います(笑)」。
成木の主たる業務は合金鉄、耐火物、保温材や電極などのいわゆる副原料、資材の調達である。
「たとえば、電極は1本1,450kgもある炭素の柱のようなものですが、月間で70本程度を消費します。その重量だけでも約100tに相当しますから、ケタ違いの量ですね。」
大きな柱が毎日火花を散らしている様子を想像すれば、それが近いのかもしれない。

どこから買うか、誰から買うか、いつ買うか。
それは、世界を相手にした、瞬発力勝負。

人の背丈以上もある巨大な炭素の柱、電極。その在庫を確認しデリバリー手配を行う日々は、その規模感と比べると拍子抜けするほどシンプルである。「ほぼ毎日工場内にチェックに行きます。それから、保管場所に行って電極の在庫を数えます。クライアントの現場に足を運ぶことも、情報収集の一環ですね」。もちろん、そうしたアナログな業務だけが成木に課せられた業務ではない。「たとえば、電極という同じ商材であっても、仕入先は複数あります。また、さまざまな国にさまざまなメーカーがあり、それらにさまざまな商社が介在してきますので、つねにアンテナを張っている状態です」。
高額商品でもあり、さらに消費スピードが速い資材ともなると、仕入先の選定だけでなく、仕入れのタイミング、販売のタイミングなど、複合的な判断をもって調達に取り組む必要があるという。「資材納入に関しては、競合他社が複数存在します。私たちのチームがどれだけのコストメリットを提供できるか、どれだけスムーズな納品経路を提案するか。それが受注と密接に結びついています」。
相場によって利益が上下動する、ある種、賭けにも似た瞬発力勝負の資材調達。それが、クライアントへの価値創造にも繋がり、トピー実業としての利益にも繋がる。為替情報に目を光らせるのもまた、営業パーソン・成木の一面なのである。

3年目にして、提案のほとんどを任される。
他社にはないスピード感と、その裏にある重み。

「クライアント側の調達部門と、日々相談や交渉をしていますが、重要なことはコミュニケーションの密度です。他社の動きや、クライアント内の情報なども、つねに収集しておかなければ勝負になりません」。日常的な人と人のつながり。そして、観察や緻密な計算力。その両方を兼ね備えてこそ、商社で働く一人前の営業パーソンということなのだろう。
「クライアントであるトピー工業はメーカーですから、最も困るのは工場を止めてしまうこと。調達コスト、調達の安定性、どちらにも気を使う仕事ですね」。3年目といえば、一般的にはまだまだ若手と呼ばれる年次。だが、成木の任されている仕事は中堅か、あるいはそれ以上の重みを持っているとも言えるのではないだろうか。そこまでの重責を3年目の社員に任せるのもまた、トピー実業の社風である。「クライアントへの提案は、ほぼ一人でまとめます。上司が部下の意向を尊重してくれる、ありがたい職場だと思います」。その責任とやりがいに、成木は顔を引き締める。その表情は柔和な中にも意志のある、逞しい営業パーソンを思わせた。